たとえ、この恋が罪だとしても。
「妹は帰りたくないんだと。せっかく迎えに来てくれたけど、お兄ちゃんは先に帰れよ」
そう言いながら、山崎先生の手は背中をポンポンっと撫でる。
「…は?」
「見てわかるだろ?俺と離れたくないんだよ、真優は」
ドキ。
今、名前で呼んだ…というか、そういうわけで抱き締め返したわけじゃないんだけど…
山崎先生の言葉を否定したくても、今のこの状況をどうしていいかわからない。
「…ふざけんなよ」
ビク!
さっきよりも怒りがこもった、お兄ちゃんの声に身体がビクっと跳ねた。
「真優から離れろって言ってんだよ、ロリコン教師が」
足音で、お兄ちゃんが近づいて来ているのがわかる。
ドキン、ドキン。
「ロリコン教師…今の状況からすれば、そうか…けど、傷つくな」
ドキン、ドキン。
「そう思うなら、離せって言ってんだよ」
「それはできないな」
頭上でやりとりされる会話が、さっきよりもさらに緊迫しているのが伝わってくる。
お兄ちゃんさっきまで敬語使っていたのに、今はタメ語になっている。
それに、口調もさっきよりも強い。
「真優が離れたくないみたいだから」
「!?」
私!?
山崎先生の発言に驚き、見上げた。