たとえ、この恋が罪だとしても。
山崎先生が出て行った部屋には、私とお兄ちゃんしかいない。
シー…ンと静まり返った。
数歩離れた場所にお兄ちゃんは立っているが、俯いたまま何も喋らない。
山崎先生を殴った拳からは、光太郎の時と同じように血が出てしまっていて、床にポタポタと落ちてしまっている。
「…お兄ちゃん…」
さすがにその状態のままではマズイと思い、勇気を出して声を掛けようとした時ー…
「…警察ですか?」
「!?」
玄関の方から、山崎先生の驚いた声が聞こえてきた。
警察って言ったよね?今…
お兄ちゃんに向けていた視線を、玄関の方に向ける。
お兄ちゃんも同じように俯いていた顔を上げ、険しい顔で玄関の方向を見ている。
どうして、警察の人が…
ていうか、この状況はヤバいんじゃー…
さっきとは違う汗が、額から流れ落ちてくる。