たとえ、この恋が罪だとしても。
え…何?
驚いて、お母さんの顔を見上げた。
「私の産んだ子です!!」
力強くそう言ったお母さんの表情は、顔面蒼白になっている。
そんな力強く言わなくても、わかっていることでしょー…?
でも、そんな顔面蒼白で言われるとー…
「ありがとうございました。失礼します」
「!」
今度は、お兄ちゃんが頭を下げながら部屋から出て来た。
お兄ちゃんの登場に、内心ホッとする。
「母さん、部屋の中まで声が響いてたけど何かあったの?」
そう言いながら、お兄ちゃんがこっちに向かって歩いてくる。
「白石、後は俺がやっておくから、お母さんと妹連れて帰っていいよ」
すれ違いざまに、山崎先生はお兄ちゃんにそう言った。
「悪かったな、俺のせいで。家に帰ってゆっくり休め」
そう言った山崎先生に、お兄ちゃんは返事もせずにこっちに向かって歩いて来る。
そして山崎先生は、私たちに背を向け歩き出す。
「あ…山崎先生っ…」
追いかけようとしたが、腕を引っ張られ止められた。
「真優、やめなさい!帰るわよ!」
腕を掴んだのはお母さんだった。
「え…でも…」
まだ山崎先生に今日のこと謝ってないー…
「いいから!帰るわよ!!」
今まで1度も見たことがない、お母さんの表情。
さっきまでは顔面蒼白だったのに、今は怒っているのか顔が真っ赤だ。
「涼真、真優を連れてって。私は警察の人に挨拶してくるから」
お兄ちゃんにキツく言うと、お母さんは警察署の受付けに向かって行ってしまった。