たとえ、この恋が罪だとしても。
警察署からの帰り道、前を歩くお母さんは一言も喋らない。
山崎先生と知り合いだったこと、そして、どうして¨真優は私の子です!¨と顔面蒼白になりながら言ったのかー…
聞きたいことがあるのに、今のお母さんには聞ける雰囲気ではない。
「…真優」
「!」
隣に並んで歩くお兄ちゃんに名前を呼ばれ、見上げた。
「悪かった」
視線も合わせずに言った、お兄ちゃん。
「…ううん」
何に対しての悪かったのかわからないし、もう聞く元気もなかった。
警察沙汰になってしまったお兄ちゃんと山崎先生は、どうなるのか。
山崎先生を追いかけようとした時、どうしてお母さんは止めたのか。
何でお母さんは知り合いの山崎先生と会って、あんなに取り乱したのか。
それと、山崎先生の部屋で見たあの写真の女の人ー…
今日は色々あったけど、あの写真の女の人の顔は鮮明に記憶の中に残っている。
あの女の人ー…誰かに似てるんだけど、それが誰なのかわからない。