たとえ、この恋が罪だとしても。
「涼真先輩、結局戻って来れなかったねぇ」
「今日の夏祭りに掛けてたのに!!」
幸いなことに、お兄ちゃんの謹慎処分が掲示板に貼られた後でも、誰も私に謹慎処分の理由を聞いてくる人はいなかった。
学年1の秀才で、陸上部のエースの謹慎処分…
きっと誰もが理由を知りたいだろうに、お兄ちゃんに気を遣っているのか、理由を知るのが怖いのか聞いてこない。
光太郎でさえ、一度は聞いてこようとしたが¨やっぱ、何でもない¨と言い聞くのをやめたぐらい。
「涼真先輩は今年最後の夏祭りなんだよねぇ…はぁ…一緒に花火見たかった!!」
終業式の最中だというのに、さっきから周りの女の子達は放課後に行われる夏祭りのことで盛り上がっている。
この学校には文化祭とは別に、1学期の終業式の放課後に生徒会主催で夏祭りが行われる。
生徒会が数店の出店を開き、夏祭りの最後には数十発の花火が校庭で打ち上がる。
私がそのことを知ったのは、今さっきのことー…