たとえ、この恋が罪だとしても。
私はお兄ちゃんが好きなのに、お兄ちゃんには好きな女の子がいた。
しかも、彼女だ。
私は、ただの妹でしかないのに。
私は神様に願っても、決してなれないお兄ちゃんの恋人ー…
「…いし…ま…ゆ」
いや、願ったら神様に怒られちゃうよね。
「…真優!!!!」
「!!??」
大きな声で名前を呼ばれ、ビクッと身体が跳ねた。
え…何?
驚いて、俯いて考え事をしていた顔を上げた。
「…え?」
同級生たちの視線が真優に集まっていた。
「白石真優、返事は?」
檀上からマイク越しに、今年度から担任になる先生が名前を呼んだ。
「…」
しまった…
今、入学式の最中だった。
「…はい」
恥ずかしくて、縮こまるように返事をした。
「あはは!」
光太郎の笑い声が背後から聞こえる。
睨みつけてやりたいが、恥ずかしくて顔を上げられない。
お兄ちゃんのことを考えてたら、自分の名前を呼ばれたのにも気付かないなんてー…
重症かもしれない。