たとえ、この恋が罪だとしても。
ーーーー…放課後ー…
時刻は18時を過ぎ、徐々に空も薄暗くなってきた。
校庭では19時から打ち上げる花火の準備や、生徒会の人達が出店を開き、たくさんの生徒たちで賑わっている。
田島さん、裏方でいいから手伝って欲しいって言ってたけど、19時からじゃ遅くない?
もう始まってるし…もしかして、片づけを手伝うのかな?
でも、何で図書室の鍵なのか…
そんなことを考えながら、校庭の片隅に置いてあるベンチに一人で座る。
「えー!?やだぁ!?マジ!!?」
「マジマジ!!さっき告られちゃって!!」
「きゃー!!いいなぁ!!」
行き交う生徒たちから聞こえてくる、楽しそうな会話。
聞いていると、ほとんどの生徒が恋愛の話題ばかり。
誰かに告白された、告白した、一緒に花火を見る約束をした、これから好きな人と合流するー…
そんな会話をしている子達はキラキラしていて、とても楽しそう。
「…恋をするってこういうことなのかな?」
友達と恋バナをして盛り上がって、堂々と好きな人と一緒に歩いて、告白をして付き合ってー…
こんな普通のことが、どうして私にはできないんだろう?
どうして、私はお兄ちゃんしか好きになれないんだろう?
苦しい想いをしてまで、お兄ちゃんを好きでいることが正しいのだろうか?
「なんて…」
正しいも何も、お兄ちゃんに恋をしまった時点で、私は正しい道を歩いていない。
気持ち悪いと拒絶されても、私はお兄ちゃんのことを今でも好きでいる。
「重症だな…」
自分で言って、苦笑いが出てしまう。
叶うことはなかったかもしれないけど、お兄ちゃんと一緒に花火ぐらいは見たかったなぁー…