たとえ、この恋が罪だとしても。
ドーン…と、身体に響くような音を立て、花火が次々と打ち上がる。
薄暗い図書室は花火によって照らされ、お互いの顔がハッキリと見える。
¨一緒に見よう¨と、さっきお兄ちゃんは言ったが、口を開こうとする気配がない。
横目で隣にいるお兄ちゃんを見ると、顔は窓の外を向いていて花火を見ている。
その横顔は花火に照らされ、いつも以上に綺麗に見える。
「…真優」
「!」
花火を見たまま、お兄ちゃんが名前を呼んだ。
ドキドキ。
「…何?」
ドキドキしているのがバレないように、いつも通りに返事をしたつもりだったが、少し声が小さくなってしまった。
「こうやって一緒の教室にいてさ、同じ時間を過ごして、他愛もないことで笑い合って、一緒に帰って…普通のことを願っているだけなのに、それが俺たちにはできないんだよな」
花火を見ながら、ぼつりぽつりと喋りだしたお兄ちゃん。
…何?
その内容は、さっき自分が考えていたのと同じことで驚く。
何で、急にそんなことをー…?
「何度、同級生だったら良かったか…他人だったら良かったかと思った」
どうして、お兄ちゃんが急にそんなことを言い出したのかわからず、頭の中が困惑している。
会話の真理を知りたくてゆっくりと、隣にいるお兄ちゃんを見上げた。
その時ちょうど打ち上げられた花火に照らされ、お兄ちゃんの表情がハッキリと見えた。
「俺だって、ずっと好きだったよ。真優」
同じようにお兄ちゃんは私を見下ろし、切なげに歪んだ表情で言った。
「…っ」
キュンっー…
胸が締め付けられ、苦しくなる。
…まさか…
まさか、お兄ちゃんも同じ気持ちでいてくれたなんてー…そんなの、ありえない。
信じられない気持ちのまま、お兄ちゃんの目をじっと見ているとー…