たとえ、この恋が罪だとしても。
「ずっと好きだった」
「!」
ドクン!
「…っ」
¨ずっと好きだった¨
お兄ちゃんの真剣な表情に、好きだというのが本当なんだと核心した。
ドクン。
ドクン。
嬉しいはずなのに、頭が真っ白で言葉がでない。
「俺は一生、この想いから目を背けて生きていくつもりだった。けど、謹慎中の一ヶ月の間、家で一人で考える時間が増えたことで考えが変わった」
普段口数が少ないお兄ちゃんが、真剣な表情で話す。
「小さい頃からずっと、妹を好きになる自分がおかしいと思っていた。この想いは何かの間違いだろうと思って、他の女とも付き合ったりもした。けど、どうしても心から誰も好きになれなかった。俺の心の奥底には、常に真優がいたから」
ドーン…と打ち上がる花火のことを忘れ、真剣な表情で話すお兄ちゃんを見つめる。
「そんな自分のことは棚に上げて、中学の入学式や高校の入学式で、真優に男が近付かない様にけん制したりもした」
お兄ちゃんにそう言われ、過去のことを思い出すと、確かに入学式の時には必ず教室まで来ていた。
珍しいなって思ってたけど、まさかそんな理由だったなんてー…
「他の男に取られたくなかったから。例え、小さい頃から一緒の光太郎でも許せなかった。だから、光太郎の家に行った真優が泣いて帰って来た時には、人生で一番頭に血が上った。光太郎には悪いが、兄としてじゃなくて、俺の中にある男として殴ってしまった」
苦笑いをしながらそう言ったお兄ちゃんの表情は、どことなく切なそうでー…
「山崎はそれに気付いていたんだ。だからあの日、山崎の部屋に行った時も、真優が抱き締められているのを見て頭に血が上った。さらに、山崎が言ってくる言葉が図星過ぎて、余計に頭に血が上って殴ってしまった」
¨好きだ¨と言いながらも、苦しそうでー…
「あんな風に自分を見失うのも、相手が真優だから。真優のことが誰よりも好きで、愛してるからだ」
今にも泣き出しそうな表情。
「…っ」
そんな表情で話すお兄ちゃんを見て、胸が苦しくなり涙が目に溜まる。