たとえ、この恋が罪だとしても。
お兄ちゃんも同じ気持ちでいてくれたことを、喜ばなきゃいけないのに。
何故か苦しさが勝っている。
「真優にキスされた時、咄嗟に¨気持ち悪い¨って言ってしまったけど、両想いだったんだと思って嬉しかった」
もう花火が終わってしまったんだろうか、窓の外が静かになり、さっきよりもお兄ちゃんの声がハッキリと聞こえる。
けど、表情はさっきよりも見えなくなってしまった。
「けど、そんな風に喜んでしまっている自分は、兄失格だと思った。だって、俺には真優を幸せにすることができないから」
ドクン!
「っ…どうして?」
やっと言葉が出たけど、声が震えとても小さくなってしまった。
「兄妹で愛し合うということは、一生、周りから後ろ指をさされて生きて行かなきゃいけないから」
ドクン!!
「父さん、母さんにも同じ目に合わせてしまう。そして何より悲しむのは、父さん母さんだ。真優から両親を奪ってでも、幸せにしてやることは俺にはできない」
目に溜まっていた涙が、頬に一粒流れ落ちた。
「好きだからこそ…愛しているからこそ、真優には幸せになってもらいたい」
お兄ちゃんの大きな手が、頬に流れ落ちた涙を拭った。
「だから、真優に想いを伝えなきゃいけないと思った。お互いに、もう前に進まないといけないと思ったから」
頬に落ちてくる涙は、一粒だけじゃなかった。
次から次へと、涙が零れ落ちる。
…前に進むって何?
この想いの進む先ってー…
「さよならだ、真優」
「!」
ドクン!
そう言うと、お兄ちゃんの手が頬から離れた。