たとえ、この恋が罪だとしても。
「真優!さっき最高だったぜ!!初日から大注目じゃん」
「…」
入学式も終わり、体育館から教室へと移動をしていると、光太郎がからかうように声を掛けて来た。
「うるさい、だいたい光太郎が式の前にあんなこと…」
文句を言おうと思ったが、途中で止めた。
「俺が何だよ?」
隣に並んで歩く光太郎が、顔を覗き込んでくる。
「…何でもないっ!」
その顔をグイッと押しのけ、光太郎を置いて歩き出す。
お兄ちゃんのことを考えてたなんて言ったら、またブラコンって言われる。
それは、嫌だからー…
「入学式でボケッとしてんなよ、恥ずかしい」
…え?
前を向くと、呆れた顔をしたお兄ちゃんが立っていた。
「お兄ちゃん…」
驚いて、茫然としてしまう。
「涼真先輩!」
光太郎は走って、お兄ちゃんの側に寄る。
どうして、ここに?
「うそ…涼真先輩って…真優のお兄さん!??」
周りにいた同級生の女の子たちが、ザワザワと騒がしくなる。
何ー…?
様子を伺うように、周りを見渡す。
「小学校の時もカッコイイなって思ってたけど、久々に見たらまたカッコ良くなってない!?」
「身長たかっ!!学ラン、超似合ってるし!!!ヤバっ」
「真優、うらやましい…」
今までとは、少し違う反応のように感じる。
小学校の時も、お兄ちゃんは人気があった。
けど、その時とはまた違う…
女の子たちのお兄ちゃんを見る目が、違うように感じる。
「けどさ、妹じゃなくて良かったよね。他人なら、涼真先輩に恋愛対象として見てもらえる可能性があるし」
ドクン!
一人の女の子の言葉に、心臓が深く脈を打った。
…今、私が一番気にしていることをー…