たとえ、この恋が罪だとしても。
「一人言が多くなったな、白石」
「!?」
美術室の椅子に座り、窓から校庭を眺めていると背後から声がした。
勢いよく振り返ると、そこにいたのはー…
「山崎先生!?」
一ヶ月以上ぶりの山崎先生だった。
「元気だったか?」
最後に会った時は、お兄ちゃんに殴られて口元が切れていたのに、今ではすっかり治っている。
「って、元気じゃなさそうだな。その顔は」
ふっと笑い、顔を覗き込んでくる。
「…兄ちゃん、部活辞めたんだってな」
ドクン!
真剣な表情の山崎先生と目が合った。
「俺のせいだよな。警察沙汰になって、謹慎処分を受けたから」
山崎先生の表情が曇り、覗き込んでいた顔が離れた。
「あんなに頑張ってたのに、悪いことをしたと思っている。改めて、兄ちゃんに謝りたいんだけど連絡とれるか?」
ドキ!
「あ…」
「ん?」
¨連絡とれるか?¨って…とれるわけがない。
お兄ちゃんは、私の前からいなくなってしまったんだから。
「…白石…」
山崎先生の表情が、驚いた顔に変わった。
どうしてだろうと思い、自分の頬に触れると濡れていた。
「どうした?何かあったのか?」
心配そうな表情の山崎先生が見えるが、次々と溢れ出てくる涙で視界がぼやけ始める。
「言っただろ?一人で背負いきれないぐらいに辛いんだろうって。一人で背負えなければ、俺に言えばいい。どうした?何があった?」
山崎先生の優しい言葉に、張りつめていた心が解きほぐされる。