たとえ、この恋が罪だとしても。
「白石は、両親は好きか?」
「…え?」
山崎先生の唐突な質問に、ぽかーんとしてしまう。
出ていた涙が引っ込むぐらいに。
「兄ちゃんより、両親が好きか?」
もう一度、念を押されるように聞かれる。
両親は好きかと聞かれても、そりゃ親だもん好きに決まっている。
けど、お兄ちゃんより好きかと聞かれるとー…
「…お兄ちゃんの方が好き」
親不幸ものかもしれない。
けど、親にこの想いがバレてしまうよりも、お兄ちゃんがいなくなってしまった方が辛い。
「そうか…ならいい。明日、この時間に美術室に来て。ただし、私服でな」
「え?」
「遅くなる前に帰れよ。じゃあ、また明日な」
「え…え?」
¨そうか…ならいい¨ってー…
何がいいの?
聞きたくても、山崎先生はさっさと美術室から出て行ってしまった。
何が言いたかったの?
そんな疑問を抱いたまま、明日を迎えることになってしまった。