たとえ、この恋が罪だとしても。



走り出して1時間後、車が停まった場所は高台の海が見える場所。

ここはー…

駐車場に停まった車から降り、辺りを見渡す。


高台のすぐ下は海で波の音が聞こえ、潮の香りも風に乗って香ってくる。


「この道を真っ直ぐに行って待ってて。すぐ、追いつくから」

山崎先生はそう言うと、さっき車で来た道を今度は歩いて戻って行った。

「え…えぇ…」

周りには誰もいない。
波の音だけが、聞こえるだけ。


ここは、どこなんだろうか?


自分がいる場所がわからない上に、知らない道を歩けと言われ、不安になりながらも言われた通り、真っ直ぐに道を進む。


人が一人、すれ違えるほどの道幅。
両脇には名前はわからないけど、綺麗な白い花が咲いている。



とても、神秘的な場所ー…



心が安らぐような気持ちになりながら歩いていると、目的地であろう場所が見えてきた。





「…ここはー…」

目的地まであと数歩という場所で、足を止めた。




「お墓ー…?」


目の前に見えるのは、この神秘的な場所に一カ所だけしかない墓石。




一体、誰のー…?




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