たとえ、この恋が罪だとしても。
「真優、大丈夫か?」
「!」
お兄ちゃんの手が額に触れた。
「な…何!?」
ビックリして、慌てて離れた。
「…元気そうだな」
2歩ぐらい後ろに下がり距離を取ると、お兄ちゃんの呆れた目と目が合った。
今…お兄ちゃんの手がおでこにー…
「入学式の時にぼけーっとしてたから、調子悪いのかと思って様子見に来たんだよ」
溜め息をつきながら、お兄ちゃんが言った。
「え…お兄ちゃん、入学式にいたの?」
「いたわ。お前ら新入生の後ろの席に。在校生も式に参加してたんだよ…そこまで気付かないほど、ボケーっとしてたのか。…はぁー」
さっきよりも大きな溜息を吐きながら、お兄ちゃんが言った。
「後、父さんたちもいたからな」
「!!?」
お父さんたちも!?
「真優の体調が悪いんじゃないかって心配してた。で、母さんに様子見て来てって頼まれたんだよ。…まぁ、元気みたいだから良かったけど」
「あはは…」
お兄ちゃんのことを考えてたなんて、絶対言えない。
「教室戻ったら、今日はもう終わりだろ?父さんたち、門の前で待ってるって言ってた。じゃあな」
「あ…お兄ちゃん!」
呼び止めたが、無視してお兄ちゃんは行ってしまった。