たとえ、この恋が罪だとしても。
「妹…いや、真優は俺の子の可能性がある」
「!?」
山崎先生が落ち着いた声で言ったその一言は、心にスジンと重い石が乗ったように感じた。
私が…
山崎先生の…子供…?
大きく目を見開いて、山崎先生の顔を見つめる。
驚きすぎて、言葉が出ない。
「…その確証はあるんですか?」
「!」
「憶測だけで言っているなら、聞く価値もありませんよ」
お兄ちゃんのとても冷静な声が、乱れた心を落ち着かせていく。
そう…そうだよ!
いきなり、この写真の女の人が私と似ていて山崎先生の元恋人だからって、私の父親が山崎先生だという証拠にはならない。
「残念ながら、確証を持てる証拠は今のところ何もないんだ」
お手上げと言わんばかりに、山崎先生は両手を肩の高さまで上げた。
「けど、入学式で真優を一目見たときからずっと思っていたことだ」
そういえば入学式の日に、山崎先生に"真実"っていう人と間違えられてー…
「…この写真の女の人は、真実さんですか?」
誰と間違えたんだろうと思っていた。
「そうだ。真優を初めて見た時に、真実にそっくりだと思った。だから、つい名前を呼んでしまった」
自分では写真を見た時に、誰かに似ているとは思っていた。けど、まさか自分に似ているなんて…お兄ちゃんが言うまでは気付かなかった。