たとえ、この恋が罪だとしても。
「…そんな都合の良いことが、現実にあるわけがない」
「!」
ビク!
自分が考えていたことを、お兄ちゃんが口に出して言った。
その言葉で、少し期待してしまっていた自分が恥ずかしくなる。
「もし、本当に俺たちが兄妹じゃなかったらー…」
お兄ちゃんはそこまで言いかけて、言葉を繋ぐのをやめた。
隣にいるお兄ちゃんを見上げると、眉間にシワを寄せ顔が俯いている。
そんなお兄ちゃんの姿を見て、どうして言葉を繋ぐのをやめたのかわかった。
…お兄ちゃんも同じ気持ちでいるー…
「それを確かめるために、お前たちを呼んだんだ」
「!」
山崎先生が私たちの横を通り過ぎ、墓石の前に持っていた花束を供えた。
「俺はどうして真実が亡くなったのか、真優は本当に俺の子なのか知りたいんだ。それを知るためには、お前たちの両親に聞く必要がある。だから、お前たちの両親に聞く前に、子供であるお前たちに聞いてからにしようかと思って」
山崎先生は墓石の前にしゃがみ、手を合わせ拝んだ。
その姿を、お兄ちゃんと一緒に見つめる。
「俺が真実のことを聞くことによって、もしかしたら今までの生活…家族関係が変わってしまうかもしれない。それは、二人にとって精神的に大きな負担になってしまうかもしれない」
山崎先生は立ち上がり、後ろに振り返った。
「お前たちがそれでもいいなら、俺はこのまま真実を聞きに行く」
そう言った山崎先生の目は、もう自分の中で決心がついているように見える。
後は、私たちー…
どう返事をするか迷い、隣にいるお兄ちゃんを見上げると目が合った。