たとえ、この恋が罪だとしても。
私たちは山崎先生の車に乗り、自宅に向かうことにした。
お兄ちゃんと後部座席に座り、3人とも神妙な面持ちのまま車が走り出した。
車内は、誰も喋らない。
聞こえてくるのは、ラジオの音だけ。
隣に座るお兄ちゃんはずっと窓の外を見たまま、こっちを向く気配がない。
こうやって静かな時を過ごしていると、さっきよりも冷静に今の状況が見えてくる。
真実を知りたいと思ったのは、本音。
けど、お母さんが真実を教えてくれるだろうか?
山崎先生と会った時のお母さんの反応だと、とても教えてくれそうにない。
あんなに顔面蒼白になるほど、真実は辛いものなんだろうか?
誰も喋らない車内で、自宅に向かっている道中ずっとそんなことを考えていた。