たとえ、この恋が罪だとしても。
家の駐車場に車を停めると、車から降りた。
山崎先生、お兄ちゃん、私ー…
3人で家の門の前で、立ち止まる。
ドキドキ。
真実を知りたいと決意したはずー…
なのに、いざとなると足が重くなる。
山崎先生を連れて行ったら、お母さんはどんな顔をするだろうか?
そして、真実を教えてくれるだろうか?
誰も前に進まず、立ち止まったままでいるとー…
「俺が先に行くわ」
「!」
お兄ちゃんはそう言うと、門の扉を開け中に入って行く。
「え…え…」
どうしよう?と、お兄ちゃんの背中と隣にいる山崎先生を交互に見る。
「さすが、兄ちゃん。カッコ良いな」
山崎先生は何故か、お兄ちゃんに感心している。
…こんな時に何言ってんの?
呆れ顔で山崎先生を見つめていると、ぽんっと頭を撫でられた。
「!」
「真実を知るのは、俺も怖い。だけど、知らなければ前には進めないんだ。わかるか?」
前を向いたまま、山崎先生が私の頭を撫でながら言った。
¨俺も怖い¨
山崎先生が言った言葉が、心にズシンと重みが乗った。
真実を知ることはきっと、私たちよりも山崎先生の方が辛いと思う。
愛している人が突然いなくなって2年後…
亡くなっていると聞かされた時、山崎先生はどんな気持ちだったんだろうか?
突然いなくなってしまった理由もわからず、数十年後ー…
愛している人にそっくりな私が入学してきた。
その時にどんな気持ちだったんだろうか?
「…わかります」
そのことを全てを知るために、ここに来た。
だから、もう躊躇してちゃダメなんだ。
前に進むためには、真実を知らなければいけない。