たとえ、この恋が罪だとしても。
¨真優が好きなんだ¨
お兄ちゃんがそう言った後、緊迫したこの場が一瞬だけ静寂に包まれた。
「…何言ってるの?涼真…」
さっきとは違い、勢いを失ったお母さんの弱々しい声。
「あなたたちは兄妹なの…」
「それは、戸籍上だけじゃないの?」
お兄ちゃんの言葉に、お母さんの身体がビクっと跳ねた。
「本当のことを教えてくれ、母さん。じゃないと、俺は前に進めない。実の妹に恋をしたまま生きていくのは、もう苦しい」
…お兄ちゃん。
どんな表情でお兄ちゃんが言ったのかは、後ろにいるからわからない。
けど、言葉だけでも本当に苦しいという想いが伝わってきた。