たとえ、この恋が罪だとしても。


    ぽんぽんー…

お兄ちゃんの手が、優しく背中を摩ってくれる。


 お兄ちゃんー…


「涼真もごめんなさいね。辛い想いさせて…」

お母さんが涙を拭きながら、お兄ちゃんに言った。


「涼真の言う通り、戸籍上は真優と兄妹だけど、血は繋がっていないわ。…後は、あなたたちの好きにしなさい」


「!」


好きにしなさいって…



「…真優」

さっきまで俯いていた山崎先生が顔を上げ、こっちを向いている。
その目は赤く、頬には涙の跡が残っている。


「俺が父親として真優にしてやれることは、ひとつしかない」

父親としてしてやれることは…ひとつしかない?

一体、何ー…?



「20歳になったら、戸籍を移そう。父親として、真優を迎えたい」



戸籍を移すー…?


それって…



「もう兄妹じゃなくなるってことだ。誰に何も言われずに、堂々と好きになった相手と一緒に居られる」



ずっと、私が望んできたことー…



そして、お兄ちゃんもー…



「お互いに惹かれ合って当たり前だったんだよ。血が繋がってないんだから。だから、何もおかしくないんだよ」



ずっと、自分がおかしいと思っていた。
実の兄を好きになってしまうなんてー…



けど、もうそんな想いをしなくてもいいんだ。





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