たとえ、この恋が罪だとしても。
「元気だな~、白石。さっきの式も、それだけ大きな返事ができてれば良かったのになぁ」
ドキ。
教室の扉を通ろうとした時、担任にそう言われた。
ピタッと、担任の前で足が止まった。
「…すいません」
「ぷぷぷ」
光太郎のバカにした笑いが聞こえるが、担任の前のため耐える。
「お兄ちゃんにあんま心配かけんなよ。ほら、席につけ」
「…はい」
先生まで、お兄ちゃんのこと言うー…
少しふて腐れながら、自分の席に着いた。
窓際の真ん中の席だ。
光太郎とは、少し席が離れている。
「…はぁ」
椅子に座り、やっと落ち着けたような気がする。
教卓の前では先生が配布物を配り、その説明を始めた。
その話を聞きながら窓の外を見ると、グラウンドが見えた。
ここは1階の教室だから、グラウンドとは目線がほとんど変わらない。
小学校のグラウンドよりは少し広いように見える。
ここで放課後、陸上部も部活してるのかな。
そしたら、お兄ちゃんがここからよく見える。
お兄ちゃんが体育の時だって、ここから授業受けながら見えるかもしれない。
「…って」
私も、お兄ちゃんのことばかりじゃん。
自分で自分に、呆れた。