たとえ、この恋が罪だとしても。
担任からの一通りの説明も終わり、下校となった。
お兄ちゃんが言っていた通り、校門の前で待っている両親の元へ急いで行く。
「お母さん!お父さん!」
校門の前まで来ると、両親が立って待っていた。
「真優、あなた体調大丈夫なの?」
ドキ。
お母さんが心配そうに聞いてくる。
「え…あ…あれは、ちょっと緊張しちゃって」
お兄ちゃんのことを考えていたなんて、親には特に言えない。
「環境がガラッと変わったもんな、それは緊張するよ」
お父さんが慰めるように、頭を撫でてくれる。
ズキ。
「うん…」
何か少し、罪悪感ー…
「じゃあ、写真撮りましょ!涼真は先に帰っちゃったし」
「え…お兄ちゃん、もう帰ったの?」
いつの間にー…
「あぁ。涼真のくせに女の子連れてな」
ズキ。
「お父さん、自分の息子にくせにはないでしょ」
「いやいや、相手の親御さんの気持ちを考えるとな…。もし俺たちより帰りが遅かったら、夜は説教だな」
「もう、お父さん…」
両親の会話に、心がズキズキと傷む。
「さ、真優。写真撮りましょ?」
お母さんに背中を押され、朝見た入学式の看板の前まで行く。
「真優は中学生で彼氏なんか作っちゃいかんぞ。いや、高校生になってもだな…」
「お父さん!!そんなこと言わないでください!」
「だって…」
「だってもありません!真優、気にしないでね。勉強もいいけど、恋もたくさんできるといいわね」
ぽんぽんっと、お母さんが背中を撫でてくれる。
「…うん」
そんなお母さんの顔を見ることができなかった。
「真優、笑って」
「うん」
「撮るぞー」
カメラをセルフタイマーにし、お父さんがカメラの元から走って来て横に並んだ。
カシャ。
機械音が聞こえ、写真が撮れたのがわかった。
私、ちゃんと笑えてたかな?