たとえ、この恋が罪だとしても。




「さっさと終わらせて、帰るぞ」




お兄ちゃんがこっちに向かって来る。


「え…え…どういうこと?」


突然のお兄ちゃんの登場に、頭がついていかない。


「帰る時に職員室に寄ったら、高橋先生に捕まったんだよ。¨妹の課題見てやってくれ¨って」


高橋先生は数学の担当で、私にこの課題を出した先生だ。


「来週期末だから、今日から部活なしで早く帰れると思っていたのに、お前のせいで帰れなくなったわ」



ぶつぶつ言いながら、お兄ちゃんは前の席の椅子を後ろに向けた。



「何がわかんないんだ?教えてやるから」


向かい合い、至近距離で目が合う。


「…っ」



こんな真正面でお兄ちゃんの顔を見たのは、久しぶりー…



ドキン。


ドキン。



前よりも大人びていて、小さい頃のお兄ちゃんがもう想像つかない。





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