たとえ、この恋が罪だとしても。
「真優!」
ビク!
大きな声で名前を呼ばれ、ハッとした。
「ボーっとしてないで、課題やるぞ。言っとくけど、俺も来週期末なんだからな」
「あ…うん。ごめん…なさい」
キツイ口調でお兄ちゃんに言われ、思わず謝ってしまった。
見惚れている場合じゃなかったー…
「いいから。早く終わらせよう」
「うん」
そう言うと、お兄ちゃんは問題一つ一つの解き方を説明してくれた。
その説明は先生よりもわかりやすく、さすが学年でトップ争いをしているだけの学力だと思った。
そして何より、お兄ちゃんに教えてもらったってことだけで、もう二度と公式は忘れないだろうと思った。