たとえ、この恋が罪だとしても。
「優華、悪い。今日は一人で帰って」
「…」
…え?
俯いていた顔を上げると、目の前にはお兄ちゃんの背中。
どうしてー…?
「えー!?せっかく待ってたのに」
お兄ちゃんの背中越しに、優華さんの残念そうな声が聞こえる。
「じゃあ、また明日。行くぞ、真優」
「え…あ…え?」
行くぞって言われても…
先に歩き出したお兄ちゃんと、まだ文句を言っている優華さんを交互に見ながら、オロオロしてしまう。
「はぁー。真優」
「!」
溜め息をつきながらお兄ちゃんが戻って来て、無理やり腕を引っ張った。
ドキン!
「ちょ…涼真!?」
目の前で見た光景に驚いたのか、優華さんの悲鳴に近い声が聞こえる。
「お兄ちゃん…」
突然の出来事に、言葉が見つからない。
優華さんの声を無視して、お兄ちゃんはどんどん歩いて行く。
「ねぇ、お兄ちゃん…」
声を掛けても、返事がない。
腕を掴まれたまま校門を出たところで、手が離れた。