たとえ、この恋が罪だとしても。
*妹だと、思い知らされた夏。
「白石、よく頑張ったな!中間よりもだいぶ、点数伸びたぞ!!」
今日は、期末テストの結果が返って来る日。
そして今の授業は、数学。
「お兄ちゃんのおかげだな!帰ったら、結果を報告してやれよ」
高橋先生から採点されたテストを受け取り、驚いた。
50点満点中、42点。
中間で25点だったから、すごく点数が伸びた。
しかも、数学だけ。
「真優!どうだった?数学」
自分の席でテストを見ていると、光太郎が返されたテストを持って来た。
「え!!?42点!?真優が!!?」
人のテストを覗いて、大きな声で叫んだ。
「ちょ…声でかい!!」
パシっと、光太郎の腕を殴る。
「え…カンニング?」
今度はやけに小さい声で、光太郎が聞いてくる。
「そんなわけないじゃん!…お兄ちゃんのおかげだよ」
高橋先生の言う通り、お兄ちゃんのおかけだ。
先週、お兄ちゃんに教えてもらった公式が頭に入ってたから、良い点数が取れた。
「マジか!いいなぁ!涼真先輩に勉強教えてもらえて!!!」
目をキラキラさせ、本気で羨ましそうな光太郎。
「…ほんと、お兄ちゃん好きだね」
「もちろん!」
堂々とお兄ちゃんを好きって言えて、うらやましい。
「真優、ちゃんと涼真先輩にお礼言えよ!?」
「何で光太郎に言われなきゃいけないのよ」
「で、今度俺にも勉強教えてって頼んでおいて」
「…」
それが目的かー…
「絶対だぞ!!」
「はいはい」
念を押して言うと、光太郎は自分の席に戻って行った。