たとえ、この恋が罪だとしても。
その日、学校から帰宅するとお兄ちゃんの姿はなかった。
中学生になったお兄ちゃんとは、前よりも一緒に過ごす時間が少なくなっていた。
朝練に、放課後も部活…小学生の頃から陸上をやっていたお兄ちゃんは、そのまま中学でも陸上を続けている。
「真優、帰って来たの?」
玄関で考えごとをしていると、リビングからお母さんが出て来た。
「…お兄ちゃんは?」
「あんたいつも帰って来てその質問ばかりね。部活で遅くなるみたいよ」
やっぱりー…
わかっていても、何故か聞いてしまう。
「そろそろ、お兄ちゃん離れしてもいい歳なのにね」
「!」
いつもは気にしてなかった母の一言。
でも、今日はー…
¨お兄ちゃんが好きっておかしいよね¨
「うるさいな!!!いいじゃん、別に!!」
無性に、腹が立った。
「真優…?」
お母さんの顔を見ると、驚いた表情をしている。
「っ…」
乱暴に靴を脱ぐと乱暴に階段を登り、二階にある自分の部屋へと向かった。
バタン!!
乱暴に部屋のドアを閉めると、ランドセルを机の上に置いた。
何で、皆して言うの?
お兄ちゃんが好きで何が悪いの?
おかしいの?
ベットの上に寝っころがり、天井を見上げる。