たとえ、この恋が罪だとしても。
「お兄ちゃん」
フェンスに寄りかかり、スマホを見ていたお兄ちゃんに声を掛けた。
私がお兄ちゃんなんて呼んだから、周りにいる子達から¨え…妹?¨と言う声が聞こえる。
「真優、遅い」
気付いたお兄ちゃんはポケットにスマホをしまい、こちらを向いた。
「別に、遅くないし…」
注目の的になってしまっていることに、居心地の悪さを感じる。
「まぁ、いい。行くぞ」
「あ…待ってよ」
先に歩き出したお兄ちゃんの後を、慌てて追う。
あんなに注目の的だったのに、お兄ちゃんは何も感じないのかな…
まぁ、小さい頃から慣れてるだろうけどさ…いつも、キャーキャー言われてたし…
そう言えば…中学の時に付き合っていた優華さんとは、どうなったんだろう?
高校は違う学校に入学したってことは、なんか聞いたことあったけど…
「まだ、ふて腐れてんのか?」
「!」
歩行者信号機が赤で立ち止まった時、前を歩いていたお兄ちゃんが振り返り聞いてきた。
ふて腐れてる…?
「顔、仏頂面になってる」
「え!?」
自分の顔を触ってみるが、鏡がないため表情なんかわかるはずもない。