たとえ、この恋が罪だとしても。
美術室があるのは1階。
グラウンドに面した場所にあるため、窓からはグラウンドを見渡せる。
窓の近くまで行くと、陸上部やサッカー部が部活を行っているのが見える。
その中には少し遠いが、お兄ちゃんの姿もあった。
中学の時には、なかなか見られなかったお兄ちゃんの姿が、ここから見られる。
「…ここ、いいな」
無意識に、声に出して言ってしまった言葉だった。
「何がいいんだ?」
ビク!
「!?」
誰もいないと思っていたはずの教室から、何者かの声がした。
驚いて、声がした方向に顔を向けた。
「…山崎先生?」
黒板の前にいたのは、担任の山崎先生。
いつから…
全然、気付かなかった。
驚きと、無意識に出てしまった言葉を聞かれてしまったことに、バクバクと心臓がうるさい。
「そんなお化けをみたような表情をするなよ。俺の方が先にここにいたんだから」
心外だという表情で、山崎先生が近付いてくる。