たとえ、この恋が罪だとしても。
「何、見てるんだ?」
ドキ。
隣に並び、山崎先生も窓の外を見る。
「…別に…」
ドキドキ。
ドキドキ。
お兄ちゃんを見ていたなんて、知られてはいけない。
窓から視線を外し、俯く。
「あれ、白石の兄ちゃんいるじゃん」
ドキ!
「…っ」
うそ…見ていたのバレた!?
ドクン、ドクン。
さっきよりも心臓がうるさくなり、息が苦しくなる。
「ほんと目立つよな、白石の兄ちゃん。無口なくせに、立っているだけで華があるとか羨ましい」
「…」
え?
山崎先生の思ってもいなかった言葉に、逸らしていた顔を向けた。
「しかも勉強もできて、陸上部のエース。身長も高いし、顔立ちも綺麗でモテる。教師生活長いけど、あんなパーフェクトな生徒見たことなかったな」
グラウウドにいるお兄ちゃんを見ながら、何故か感心している山崎先生。
「そんな白石の妹が入学してくるって聞いてたから、どんな妹がくるかと思っていたら…」
そこまで言うと、山崎先生は言葉を止めた。
「…」
不自然に顔を逸らし、目を合わせようとしない。
そんな反応に、入学式当日の出来事を思い出す。
¨妹のわりに…身長が小さくないか?¨
私のコンプレックスをサラッと言った。