たとえ、この恋が罪だとしても。



勢いよく自分の部屋のドアを開けると、乱暴に閉めた。



「…どうしよう…」


部屋の電気も点けず、ドアにもたれ掛かる。


あんなこと言ったら、私たちがお兄ちゃんのキスシーン見たのバレバレじゃん。



「あー…もう…」

くしゃくしゃっと髪を掻き、その場に座り込む。


もう頭の中、グシャグシャだよ…


目を閉じると、さっき見た駅でのキスシーンが目に焼き付いたように、鮮明に見える。


「やだよ…」


中学ではそれ以上の現場に遭遇してしまったが、目の前では見なかった。



だから今日のは、あれ以上のダメージだ。


「ふっ…」


泣いてもしょうがないのは、わかっている。

わかっているけど、嫉妬で頭の中が混乱していて涙が出る。




どうして、お兄ちゃんを好きになってしまったんだろう?



どうして、お兄ちゃんしか好きになれないんだろう?



どうしてー…



お兄ちゃんを好きだと自覚してから、もう何年も自分に問い掛けている。



けど、いつも答えは同じ。




私は、お兄ちゃんしか好きになれない。



これからも、ずっとー…






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