たとえ、この恋が罪だとしても。
*幼なじみとの距離感
あの日から、もう一ヶ月が経った。
季節はもう、6月になった。
梅雨の時期に入ったため、雨が降る日が続いている。
そのため部活で美術室に行っても、お兄ちゃんの姿をグラウンドで見ることができていない。
それに加えて、中間テストを来週に控えているため、どの部活も2週間前から休みに入っている。
「真優、帰ろうぜ」
朝から降り続ける雨を教室の窓から見ていると、光太郎が声を掛けてきた。
「うん」
窓に向けていた視線を、光太郎に向けた。
「なぁ、今日さ、俺ん家で勉強しねぇ?どうも、図書館だと落ち着かなくて」
他愛もない話をしながら教室から出て、光太郎と並んで下駄箱へと向かう。
「光太郎と図書館って、相性悪そうだもんね」
「どういう意味だ!?」
「そのまんまの意味」
「あ!?」
下校時間がどの学年も重なり、ほとんどの生徒が下駄箱に向かっているため、廊下は混雑している。
大勢の生徒が行き交う中、同じ学校に居てもお兄ちゃんと廊下ですれ違うことは滅多にない。
けど、今はちょうどいいかもしれない。