たとえ、この恋が罪だとしても。
「!」
ビク!
「…びっくりした」
扉を開けたのは、お兄ちゃん。
突然の登場に、身体がビクっと跳ねてしまった。
「…どっか行くのか?」
そう聞いてきたお兄ちゃんの顔を見ることができず、俯く。
「…光太郎ん家」
聞こえるか聞こえないかぐらいの、小さな声で返した。
お兄ちゃんと話すのは、一ヶ月ぶり。
あの日から、ずっと避けていたから。
「そんな服でか?」
「え?」
服がなに?
そう言われ、改めて自分の服装を見直す。
最近梅雨入りして、ジメジメと暑いから膝上の短パンと、ラフな白いTシャツ。
光太郎の家で勉強するぐらいだから、こんなもんでいいかと思ったんだけど…
「…まぁ、いい」
自分の服装を見て悩んでいると、お兄ちゃんが溜め息をつきそう言った。
「え…ちょ…」
お兄ちゃんは靴を脱ぐとすっと横を通り、階段を上って行ってしまう。
「…何?」
その後ろ姿をじっと見つめたが、お兄ちゃんは一度も振り返ることもなく、自分の部屋に入って行った。
「何なの…?」
結局何が言いたかったのかわからないまま、光太郎の家に向かった。