キス逃げ ―衛side―



さっきより長くて



さっきより熱いキス。




唇を離した瞬間に

えっ……



そう思っているうちに、私の唇に衛の唇が重なり合った。



さっきより長くて


さっきより愛が有るキス。



唇を離した瞬間、紗柚と目が合って照れながら言い放つ。

「自分からキスするの、初めてなんだからな」


たぶん、いま俺真っ赤だよね?!


「衛、キス逃げされたら消毒してね」

何を言ってるんだよ!!
紗柚に指1本でも触れるやつは……



俺が殺る。



「バ―カ、紗柚にキス逃げしたらぶん殴りに行くから」

そんな俺に抱きついてくる可愛い奴。

「紗柚こそ、俺にキス逃げする人から守ってくれるの?」

意地悪な質問。

「もう、キス逃げさせないもん。だって、衛は私だけの衛だから」


俺の体に腕を回したまま、ギュッと頬を胸にくっつけた紗柚。


「俺も、紗柚を離さないから」


胸の中で頷き何かを呟いていた紗柚。

ハッキリとは聞き取れなかったけど、温かい気持ちが心に伝わってきた気がした。

顔を上げた紗柚と視線がぶつかった俺達は、もう一度キスをした。


あまりにも自然なキスに、さっきまで友達だったと誰が思うだろう?


唇を離した紗柚は

「ねぇ、衛。21のアイス食べに行こう」

なんて、無邪気に言うんだ。

「そうだな」

顔を見合わせて微笑み合う。


さっきよりも優しい風が、俺たちの周りを包み込んでいた。



   ――――おわり――――

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