大好き

「忘れ物は無いか?」

荷物をまとめ思い出の詰まった教室をでる。

「センセ、ここで良いよ」

ドアの前で足を止めた。
見送られたくない。もう会えない気がするから…
お別れはどんな時も『またね』が良いから…

「じゃあ、センセ…またねっ」

「おぅ。またな」

「あ。そうだセンセ。ちょっと報告。」

「ん?」

最後に言わなきゃね。辞める理由。

「あたしね、春になったら結婚するんだっ」

「えっ?」

驚いてセンセは固まってる。

「でね、もうすぐママにもなるんだよ」

あたしは、ニコッと笑い手を振った。

「じゃあね。」

そう言うと、固まっているセンセを置いて教室を出た。

後から聞こえてくる『えぇ~!?』の声に笑いながら、学校を後にした。
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