小さな百合の花
雨が降る日曜日。
止むこともないまま新快速に揺られる。


今日の服装はデニムのショーパンにニーハイソックス。
お尻まで隠れるクリーム色のトレーナーは彼が今年の春にかわいいと言ってくれたから買った。


もうちょっと大人っぽい服装が好きと彼は言うけれど、どうしても私の中の無邪気さは抜けない。


けど、165センチの長身の私には彼が言うような服の方が似合うことは分かっている。


私の大学祭に向かう。
三ノ宮で待ち合わせ。

やっぱり日曜日。
色んな人が目的を果たす為に行き来している。

最近はベレー帽をかぶっている女の子がたくさんいるから素敵。
かなり昔からベレー帽は素敵だと思っていたから。


改札を出るとこないだ気に入って即買いしたパーカーを着ている彼が見えた。
改札の向こうの私を探している。

バカだな、私はここにいるのに。

気づかれないように後ろに回って驚かす。


「おはよっ」


あれ、今日はいつもと違う匂い。
D&Gのライトブルーの匂いが私の大好物なのに、今日は違う匂いがする。


でも嫌いじゃない。


寝起きの匂い、お風呂上りの匂い、部屋の匂い、そして夜の匂い。

全ての彼の匂いが好き。
きっと私に必要な匂いは彼の匂い。



「ん」
と出す彼の左手に私の右手を絡ませる。


学校へと向かう為の電車に乗るまで、傘を2つ持っているのに相合傘をした。

傘をさすのが面倒だからと言っておきながら本当はくっつきたいから。

私たちはこういう時、素直になれない。
本当に傘を2つさすという行為が面倒くさかったりもするんだけれど。
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