私の隣で座っていた
ゆきなちゃんが

診察室に入ってから
すぐ


また看護師さんの
声が私を呼んだ


「和泉ひなたさん」




幾度となくここに通い

この名前を呼ばれる度
私は機械みたいに
真っ白な部屋に
吸い込まれてゆく



今日も重い腰をあげて・・・




私のために開かれた扉を
くぐって

小さな丸いイスに座る


目の前には見慣れた
先生が私のカルテを
眺めているようだった


こんなのいつものこと
良くなることはないし

かといって

悪くなることもない



今日だって薬を貰って
帰るだけだって思った


でも先生はいつもとは違った雰囲気で私にこう言った

「呼吸器官てゆうのはね、あなたのストレスや生活習慣にとても敏感なの。

いつまでもあなたの病気が治らないのは、それらに関係がないとは言えないわね。


病気だからって、引きこもってないで趣味を持ちなさい。


このままだとずっとあなたはここに通い続けなければならないのよ。」



最後に先生は

頑張ろうねと私の背中に
呟いた。
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