黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
第一章 黒豹プリンス
*
「うららちゃん。指名、入りましたぁ」
今日も出勤してすぐに、事務所のスタッフに呼ばれた。
朝っぱらから金髪のチャラチャラしたスタッフに呼ばれるのも、胸やけがする。
ったく、私は低血圧で、朝に弱いのに……って愚痴も、これが仕事だから言えない。
その仕事は何かって言うと……朝から夕方までのデリバリーヘルス。
朝一番に指名が入るのも、私に人気がある証拠なのだ。
「指名って、誰?」
私は不機嫌に尋ねた。
「それがさぁ、新規のお客様なんだけどちょっと変わった人で、自分のことを『プリンス』とか言ってるんだ」
「はぁ? プリンス? 訳が分からない」
私は冷ややかに笑った。
「まぁ……それで取り敢えず、『異世界境界』ってホテルにいるって話だから。今から車出すし、よろしく、頼むよ」
私は溜息をついて車に乗り込んだ。
こんな仕事……デリヘルをやっていたら、そういう頭のおかしな奴の相手をしなくてはならないことも、ざらにある。
高校を卒業した十八から始めたこの仕事は、今年で三年目。
その間、デブやハゲのキモいおっさんの相手をすることなんてしょっ中だったし、サディストのヤクザに首を絞められて殺されるかと思ったこともあった。
「うららちゃん。指名、入りましたぁ」
今日も出勤してすぐに、事務所のスタッフに呼ばれた。
朝っぱらから金髪のチャラチャラしたスタッフに呼ばれるのも、胸やけがする。
ったく、私は低血圧で、朝に弱いのに……って愚痴も、これが仕事だから言えない。
その仕事は何かって言うと……朝から夕方までのデリバリーヘルス。
朝一番に指名が入るのも、私に人気がある証拠なのだ。
「指名って、誰?」
私は不機嫌に尋ねた。
「それがさぁ、新規のお客様なんだけどちょっと変わった人で、自分のことを『プリンス』とか言ってるんだ」
「はぁ? プリンス? 訳が分からない」
私は冷ややかに笑った。
「まぁ……それで取り敢えず、『異世界境界』ってホテルにいるって話だから。今から車出すし、よろしく、頼むよ」
私は溜息をついて車に乗り込んだ。
こんな仕事……デリヘルをやっていたら、そういう頭のおかしな奴の相手をしなくてはならないことも、ざらにある。
高校を卒業した十八から始めたこの仕事は、今年で三年目。
その間、デブやハゲのキモいおっさんの相手をすることなんてしょっ中だったし、サディストのヤクザに首を絞められて殺されるかと思ったこともあった。
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