黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
アルビンのプリンス……サーバルとその重臣達に危機的な状況についてしっかりと説明し、異変があればすぐに伝令を飛ばすように伝えて、取り敢えず私達は帰路につくことにした。


心配で仕方なかったけれど……

私とレオパードは、パンターの方も放っておくわけにはいかない。


アルビンからの帰りのペガサス車の中、レオパードはそっと、私に優しい瞳を向けた。


「うらら。サーバルプリンスは、誰かに似ていたのですか?」

「えっ?」

「あなたがサーバルプリンスに会った時……物凄く大切な誰かに似ている。そんな顔をしていましたよ」


そんなことをレオパードに言われ、私の瞳にはまた熱いものが込み上げた。


「えぇ。彼は……私の弟。健にそっくりなの。見た目も仕草も……話し方も、全てが」

「そうか……」


レオパードも感慨深く頷いた。


「だから……とっても気になるし、どうしても、助けてあげたい。ねぇ、レオパード。明日も、アルビンに行かせて」

「あぁ、分かった。私も……これから当分はアルビンへ通うつもりだったんだ」


レオパードは私と約束してくれた。

次の日も、私を連れてアルビンへ行ってくれるって。

そして、まさにその『次の日』だったのだ。

私達とウルフ達との戦乱の幕が開いたのは。
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