黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
「プリンス! ウルフの四天王・ナエイハを名乗る男を筆頭に、ヴォルブの群勢が攻め込んできています」


白豹の家臣が大慌てで報告に来た。

私の口からは、反射的に言葉が出た。


「分かりました。私達、パンターの者が何とかします」

「えっ、いや、でも……」

「いいから。サーバルは体を大事に、休んでなさい」


顔面を蒼白にしたサーバルに、私はキッパリと答えた。

ウルフの四天王に対する恐怖なんかよりも、健にそっくりなサーバルに何事もないようにしなければ…その一心だったのだ。

そんな私を見て、サーバルはようやく柔らかく微笑んだ。


「やっぱり……うららは昔から、何も変わらないね」

「昔から変わらない?」


というか、私はうららプリンセスの生まれ変わりなんだけど、その頃の記憶なんて全くない…という言葉は飲み込んだ。

何故って、私を見るサーバルの瞳はとっても嬉しそうで……まるで、健が幸せそうに笑ってくれているように見えて。

こみ上げる想いで、私の胸はいっぱいになったから。
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