黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
「そんなことない。あなたは弱くなんか……。お願い、お姉ちゃんを頼って」


私の口から出た言葉は、紛れもなく最愛の弟……健に向けたもの。

だけれども、サーバルは何の違和感もなく、それを受け入れてくれて。

彼の目からも、一筋の涙が伝って落ちた。





こちらはヴォルブのリオン城。

燦々たる結果に、プリンセスのナミは怒り狂っていた。


「あんた達、一体何をやってるの! ブランなんかの何倍の軍を向かわせたと思っているのよ!?」

「す……すみません。全く、予想外の出来事が起こりまして……」

「はぁ? 予想外の出来事?」

「はい。まさか、アルビンのプリンセスが、あれ程に甚大な破壊力のシャイン・ボールを放つとは……」

「何、それ? ナエイハは、レオパードでもなくたかがプリンセスの放ったシャイン・ボールにやられて、それで皆、逃げ帰ったっていうの?」


ナミは眉をひそめた。


「はい。まさか、美しさだけが取り柄だと思っていたうららプリンセスが、あれほどの攻撃力を備えていただなんて……」

「えっ……」


ナミは耳を疑った。


「ちょっと、待って。うららって……」

「はっ。元アルビンの姫、現在はパンターのうららプリンセスにございますが」
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