黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
私はレオパードと共に、ペガサス車でパンターへと向かった。

ウルフがパンターへ辿り着く前に……ということで、レオパードはペガサス車を急がせた。

ウルフ達は馬に乗り、地上を走って来るので、空を飛べる私達はその分、有利だ。

大急ぎで到着したパンターは特に異常が見られず、パルト城も何処も壊された形跡はなかった。



パルト城の玄関口。


「まぁ、プリンスにプリンセス。そんなに大慌てでどうされたのですか?」


息を切らせるように大急ぎで帰った私達を、オルビは驚いた顔で出迎えた。


「間に合った……」


城を出た時と変わらないオルビの顔を見て、私の全身からは力が抜けて。

その場にへなへなと座り込んだ。



「あ、うらら。おかえりなさい。今日はお花、摘みに行きたい」


オルビの後ろにつくエマも純真無垢な笑顔を浮かべていて。


この状況は本当にそれどころではないんだけれど……私の顔には思わず笑みが漏れた。


「うん、エマ。またお花を摘みに行こう。でもね、今日は無理なんだ。エマがいい子にしてたら、絶対に摘みに行けるから。だから、もう少しだけ待っててね」

「そっか、分かった。エマ、いい子にしてる!」


素直に頷くエマを見て、とっても可愛いと思った。

そして……この国は、このお城は、この子供達は絶対に、何としてでも守らないといけない。

私の中では、より一層その想いが強くなったのだった。
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