黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
しかし、そんな私達の前に、ムキになったジョンが飛び出して来た。


「うららは僕が守るんだ!」


その小さな戦士を見て、私とレオパードはまたも吹き出した。


「ジョン、ありがとう。すっごく頼りにしてる。でも、私もレオパードもあなたのことがすっごく大切だから……あなたにもしものことがあったら、生きていけないくらい辛いの。だから……戦うのはもっと大きくなってからにして。お願い」


私は小さな戦士に、心からお願いした。

私にとって、ジョンもエマもまるで自分の子供のように大切で愛しくて。

だから、絶対に危険な目にあわせたくない。

それは、レオパードも同じ想いだろう。


そんな私達の想いを汲み取ってか、ジョンは少ししょんぼりして頷いた。


だがしかし、すぐに顔を上げてレオパードをキッと睨んだ。


「レオパード! うららを絶対に守れよ。うららに何かあったら、僕が承知しないから!」


小さな戦士のその言葉を、レオパードは今度は真正面から受け止めて、真っ直ぐに頷いた。


「もちろん。私は妻……うららプリンセスを必ず守る。そして、ジョン。お前にもまだまだ教えてやらないといけないことが沢山ある。だから、お前達のこともこのパンターも守って……必ずお前達のもとに戻ってくる」


レオパードのその言葉が私の心をトクンと揺らした。

そして、ジョンの瞳にも涙が潤んで……でも少しお兄ちゃんになった彼は、それが溢れないように唇をギュッと噛んで頷いたのだった。
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