黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
パンターの城の前を固める私達の胸は、ドックンドックン高鳴った。

もう程なく、ウルフの軍が来る……それを迎え討つ作戦も立てている。

だけれど、私は緊張でおかしくなりそうで……沈黙の時間は永久に続くかと思われた。



沈黙を破ったのは、ペガサス車で空を飛んでいた偵察部隊だった。


「来た! ウルフの軍勢が来ました!」


その大声の報せに、私達の緊張は最高潮に達した。

私の体は小刻みに震える……でも、そんな私の肩をレオパードはそっと抱いた。


「大丈夫。このパンターは、絶対にウルフなんかに崩せない」


彼の穏やかな言葉と体温が私を優しく包み込んで……

この人になら、全てを任せられる。

そんな温かな想いが、私の震えをそっと鎮めた。




「来た……ついに」


パンターの兵士達はざわつき始める。

ついに、私達の前……遥か彼方から、馬に乗ったウルフの軍が走ってくるのが見えた。

だけれど、私は自分でも驚くほどに冷静でいられた。


「慌てないで! 打ち合わせの作戦通りにしていれば、絶対に大丈夫だから。みんな、自分の定位置について」


私の指示でパンターの兵士達も落ち着きを取り戻して。

自分の役割を再認識したかのように、結託した。

私はパンターの兵士達と関わるのも初めてなんだけれど……でもみんな、すごく結束が強くて。

私とレオパードの自慢の軍だ……そう思った。
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