黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
そんな状況を見て、ドールはチッと舌をならした。


「全く……バカな奴らだこと。私の言うことに従っていれば、せめて苦しまずに快楽の中、死ぬことができたものを。もう、容赦しないわ。覚悟なさい!」


彼女は鋭い目で私達を睨み、その全身から黄色い光を放った。


そして彼女が合図をすると、ウルフの軍は一気に城の敷地内に向かい、攻め込んできた。

私達パンターの軍は、半分地上に降り、もう半分は空中から迎え討つ。

だけれども、兵士の絶対数はウルフの方が比べ物にならないほどに多くて。

私達、パンターの軍はどんどん押されることになった。





ドールは攻め込む軍を見ながら、邪悪な笑みを浮かべてこちらを見た。


「だから言ったのに。私の言うとおりにしていれば、悪いようにはしないって……まぁ、皆殺しには変わりないんだけど」


そう。戦士になったものの、女だからと常に舐められていた彼女は、強さ以上にその美貌に磨きをかけ、自らの軍を虜にし……誰も逆らえないようにした。

私が軍を動かし、ウルフ軍が自らのために命懸けで戦う。

その状況は彼女にとって、この上ない快感なのだ。



(許せない……!)


私は思わず、レオパードの元を離れて別のペガサス車に乗った。


「うらら……!」


彼は突然の私の振る舞いに慌てたけれど……


「ごめん、レオパード。私、あいつはこの手で始末する! 私達の軍をまるで弄ぶように殺戮する、あいつだけは……!」


私はまるで頭に血が上り見境を失ったかのように、一直線にドールを囲む兵士達の前……地上へと降り立った。
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