黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
*
ドールを倒しウルフ軍を退けたパンターでは、束の間の穏やかな日々が戻って来た。
「ちょっと、ジョン! 私のブラ、返しなさいよ!」
「何これ? この膨らんでるのって、何につけるの?」
「あ……あんたは知らんでいい!」
いつも通り、ジョンとの追いかけっこ。
ほんっ当に憎たらしいガキだけど、こんなことをできている間が幸せなんだな……。
二回も戦乱を経験して、二回も敵をこの手にかけてしまった今となっては、そう思う。
イライラしながらも……そんな温かな想いが私の中に溢れていた時だった。
「あっ……」
私が追いかけていたジョンが、小さな石を落とした。
黄色く光る、小さな石……
「ジョン、何、これ?」
私の所に転がってきたそれに手を伸ばした瞬間……
「お兄ちゃん。もう! 何してるの」
傍らから出て来たエマがさっと、その石を拾い上げた。
ぷくっと頬を膨らませて、石を大事そうに手の平で隠している。
「エマちゃん。その石は?」
「これはお母さんの……大切な形見なの。それなのにお兄ちゃんは、落としたりして!」
目に涙を浮かべてプンプンと怒るエマに、ジョンはポリポリと頭を掻いた。
「うん。エマ……ごめん」
「そっか、お母さんの……」
ちょっとしんみりとした雰囲気になって。
「……はい」
ジョンは素直に私のブラを返してくれた。
ドールを倒しウルフ軍を退けたパンターでは、束の間の穏やかな日々が戻って来た。
「ちょっと、ジョン! 私のブラ、返しなさいよ!」
「何これ? この膨らんでるのって、何につけるの?」
「あ……あんたは知らんでいい!」
いつも通り、ジョンとの追いかけっこ。
ほんっ当に憎たらしいガキだけど、こんなことをできている間が幸せなんだな……。
二回も戦乱を経験して、二回も敵をこの手にかけてしまった今となっては、そう思う。
イライラしながらも……そんな温かな想いが私の中に溢れていた時だった。
「あっ……」
私が追いかけていたジョンが、小さな石を落とした。
黄色く光る、小さな石……
「ジョン、何、これ?」
私の所に転がってきたそれに手を伸ばした瞬間……
「お兄ちゃん。もう! 何してるの」
傍らから出て来たエマがさっと、その石を拾い上げた。
ぷくっと頬を膨らませて、石を大事そうに手の平で隠している。
「エマちゃん。その石は?」
「これはお母さんの……大切な形見なの。それなのにお兄ちゃんは、落としたりして!」
目に涙を浮かべてプンプンと怒るエマに、ジョンはポリポリと頭を掻いた。
「うん。エマ……ごめん」
「そっか、お母さんの……」
ちょっとしんみりとした雰囲気になって。
「……はい」
ジョンは素直に私のブラを返してくれた。