黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
リオン城……プリンセスルームに駆け込んだ家臣が、弾んだ声を上げた。


「ナミプリンセス! 最後の四天王より、黒豹のプリンスと白豹のプリンセスを捕らえた、との報せが入りました!」

「えっ、本当に!?」


(ついに来た! この時が……)

奈美の心が踊る。

ついに自らの手で麗を始末できる……

彼女はそれを想像するだけで、興奮のあまり鼓動が跳ね上がった。


「本当だよ、ナミ。これをごらん」


続けて部屋へ入ったコヨテはそっと、水晶玉を奈美にかざした。


その瞬間、


「あはっ! あはは、キャッハッハハ!」


奈美はまるで気が触れたように笑い出した。


「最高! 最高よ! このうららの馬鹿面。見てよ、ほら」


水晶玉越しには、縄で捕縛され口も塞がれた麗とレオパードが、すがるようにこちらを見ていた。

それを見て、可笑しくて堪らないとばかりに腹を抱える。


「きゃはは! さぁ、うらら。恐怖するがいいわ。恐怖して、恐怖して……その末に、私が剣でグッサリと殺してあげるから!」


それは、周囲のウルフ達さえ引いてしまうほどの浮かれ笑い……

だがしかし、コヨテはそんな彼女を見てフッと微笑んだ。


「さぁ、ナミプリンセス。早速、かのパンターへ向かいましょう」

「ええ、もちろん! あぁ、早く剣を突き立ててやりたいわ」


コヨテは、意気揚々と立ち上がる奈美の手を引いて……

プリンスとプリンセスを先頭に、ウルフの軍はパンターへと向かったのだった。



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