黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
第十一章 現世へ
「ここは……?」
何も見えなかった……
しかし、時間が経つにつれて、眩しい光が徐々に引いていった。
私の目は、段々とこの世界のものの輪郭を捉えていった。
「一体、どこ? 私、どうなったの?」
私はぼんやりと立ち尽くしていた。
荒涼としたその場所は、見渡す限りの荒地。
頬に冷たい風を感じる。
しかし、私は微かにここが何処なのか、覚えがあった。
「元の……世界?」
そこはパンターでもアルビンでもヴォルブでもない……ただ、遥か彼方には、キラキラと光を散りばめたような夜景が見えた。
『ブー、ブー』
ポケットからバイブの振動が伝わった。
それは久しぶりに感じる、ケータイのマナーモード。
私は恐る恐る、ポケットのそれに手を伸ばした。
「うららちゃん、一体、どこにいるの!? 勤務中に突然いなくなって、みんなで探してるんだよ! 指名も沢山入ってるし……早く、戻って来なさい!」
受け方も中々思い出せず、覚束ない手元で受け取った着信では……デリヘル事務所のスタッフのそんな怒鳴り声が耳に入った。
「いや、その……勤務? 指名?」
話せば話すほどに、会話が噛み合わなかった。
だって、私はパンターのプリンセスで、ウルフとの激闘の直後のはずで……。
何が何だか、分からない……電話口でそんな状態の私には、デリヘル事務所的にも窮したようで。
勤務中に急に体調を崩したものとして扱われ、電話を切られた。
何も見えなかった……
しかし、時間が経つにつれて、眩しい光が徐々に引いていった。
私の目は、段々とこの世界のものの輪郭を捉えていった。
「一体、どこ? 私、どうなったの?」
私はぼんやりと立ち尽くしていた。
荒涼としたその場所は、見渡す限りの荒地。
頬に冷たい風を感じる。
しかし、私は微かにここが何処なのか、覚えがあった。
「元の……世界?」
そこはパンターでもアルビンでもヴォルブでもない……ただ、遥か彼方には、キラキラと光を散りばめたような夜景が見えた。
『ブー、ブー』
ポケットからバイブの振動が伝わった。
それは久しぶりに感じる、ケータイのマナーモード。
私は恐る恐る、ポケットのそれに手を伸ばした。
「うららちゃん、一体、どこにいるの!? 勤務中に突然いなくなって、みんなで探してるんだよ! 指名も沢山入ってるし……早く、戻って来なさい!」
受け方も中々思い出せず、覚束ない手元で受け取った着信では……デリヘル事務所のスタッフのそんな怒鳴り声が耳に入った。
「いや、その……勤務? 指名?」
話せば話すほどに、会話が噛み合わなかった。
だって、私はパンターのプリンセスで、ウルフとの激闘の直後のはずで……。
何が何だか、分からない……電話口でそんな状態の私には、デリヘル事務所的にも窮したようで。
勤務中に急に体調を崩したものとして扱われ、電話を切られた。