黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
「そんなことないよ!」


奈美は頬を膨らませた。


「麗は誰よりも可愛くて、綺麗で、私なんて絶対に勝てないって……でも。だから……本当に、憎らしいほどに好きだったんだから」


その瞳には涙が少し滲んでいて。

そこまでムキになる彼女に、私は吹き出した。


「あ、何を笑うの? 私、真剣なんだから」

「ごめん、ごめん。ねぇ、奈美」


私は彼女ににっこりと笑った。


「これからも、ずっと……私とあなたは親友だよ」


私のその言葉に彼女の頬は赤くなって。

俯いて、小さく頷いた。


そんな純粋な彼女はとても可愛くて……

私は以前よりももっともっと、彼女のことが好きになった。
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